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じめじめとした梅雨が明け、空にホイップクリームのような入道雲が浮かぶ今日この頃。こう暑い日には涼しいお部屋で夏を感じられるアニメが見たくなりますよね。ここでは、ゲームブランド「Key」原作のアニメの中から、夏におすすめの作品をみどころも踏まえてご紹介します。

コアファンを惹きつけるゲームブランド「Key」とは

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ゲームブランド「Key」は、株式会社ビジュアルアーツに所属しているゲームクリエイターチーム。主にPC向けの恋愛シミュレーションゲームを製作しており、原画から音楽、シナリオ、グラフィックまでを自チームのメンバーで製作しています。

いわゆる「泣きゲー」と呼ばれるジャンルのパイオニアでもあり、今なお突出した人気を博しているのが特徴です。1999年に発売された同チームの処女作「Kanon」は、従来の恋愛アドベンチャーゲームとしての文脈を踏襲しつつ「泣き」の要素が巧みに織り交ぜられており、大ヒットを記録しました。

「Kanon」も例外ではありませんが、Keyが製作したゲームの多くはメディアミックスされ、アニメ化を果たしています。また、シナリオや音楽を手掛けるKeyの中心人物、麻枝准氏のシナリオは業界内でも高く評価されており、同氏とアニメ制作会社とが協働してアニメオリジナルの作品を製作するケースも増えてきています。

「恋愛」というメインテーマを描き続けながらも、バランスよく「泣き」と「笑い」が含まれたKeyの作品は、当時から今まで変わらずに若者の心に深く刺さっているのです。ここからは、そんなKey作品のなかから、とくに夏に見てほしいアニメ作品を4つご紹介します。

世界を揺るがすひと夏の物語「神様になった日」

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©VisualArt’s/Key

シナリオライターの麻枝准氏とP.A.WORKSがコラボしたアニメオリジナル作品「神様になった日」をご紹介します。2020年の作品ということで絵柄も新しく、とにかく美麗な作画が魅力。OPを見るだけでも、夏のノスタルジックな感覚が立ち上ってくるでしょう。

受験を控えた高校三年生の男の子、成神陽太の前に突如現れたのは、全知の力を持つ神様を自称する女の子、佐藤ひな。彼女は「あと30日で世界が終わる」と陽太に告げます。突如告げられた終わりの予言と、謎めいた全知の神様。一人の少女との出会いが、何の変哲もない陽太の夏を忘れられない夏へと変えていってしまうのでした。

ひなは何者なのか、世界の終わりとは何なのか。全知の能力は本当なのか。回を追うごとに謎が紐解かれていきます。すべての謎がつながったとき、きっとあなたが過ごす今年の夏は、忘れられない輝きをもって目の前に広がることでしょう。

青春の日々を思い出す「Charlotte」

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©VisualArt’s/Key

平凡な中学生活を送っていた主人公、乙坂有宇。ある日、何の気なしに「他人を思ってみる」ことにした彼は、その際に”任意の相手に5秒間だけ乗り移れる”という特殊な能力に目覚めます。

その能力を使って不正をはたらき、名門高校へ進学した彼は、順風満帆な学生生活をスタート……したのも束の間、突如現れた能力をもつ少女友利奈緒によって不正が暴かれ、名門高校からの転校を余儀なくされます。

友利の在籍している星ノ海高校へ転校してきた乙坂は、友利と共に生徒会に所属し、同年代の青年が能力に目覚めても悪用しないよう見回ることに。そして、出会う数々の能力者が抱えている葛藤や友利との関係性が、ずる賢く生きようとしていた乙坂の人間性を少しずつ変化させていきます。

思春期に置いてきてしまった悩みを、もう一度拾い集める物語。夏の夜更けにぴったりな作品なので、まだ見ていないという方はぜひ一度触れてみてください。

人生の美しさが散りばめられた44話のストーリー「CLANNAD」

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©VisualArt’s/Key/光坂高校演劇部

Key作品の中でも1,2を争うほど人気が高い作品「CRANNAD」。ネットでは「クラナドは人生」という文言をよく目にしますが、全話を観たときにその理由がよくわかります。

肩を痛めてから部活を辞め、特に目標もなく自堕落な学生生活を送っていた岡崎朋也は、ある日、学校へ続く坂道の途中で、一人の少女・古河渚と出会います。

病弱で休みがちだった彼女は、出席日数が足りずに1年留年していたこともあり、友達と呼べる友達がいませんでした。周囲から落ちこぼれのヤンキーという烙印を押されていた岡崎と、気弱で真面目な渚は次第に距離を縮めていきます。

そして、二人が出会ったことによって、友人の輪や活動の幅が広がっていく様は、見ていてどこか懐かしい気持ちになるものでした。さらに、劇中でたびたび挟まれる幻想的な別世界の映像が物語を現実離れさせているので、私たちは捉えどころのない感覚を抱えたまま、次へ次へ進んでいく展開に魅了され続けてしまうのです。

二期も合わせると、番外編を抜いても全44話とボリューミーな作品ではありますが、それゆえに重厚な世界観にどっぷりと浸れますし、ストーリーそのものが面白いので、一度観始めると「44話じゃ足りない!」と思うこと間違いなしです。CLANNADは春夏秋冬を扱った作品ですが、ぜひ夏休みに一気見してみていただきたいアニメということでご紹介させていただきました。

生と死に向き合い続けるドタバタ学園ドラマ「Angel Beats!」

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©VisualArt’s/Key

CLANNADと並び称されることもある名作「Angel Beats!」のご紹介です。

Keyのシナリオライター・麻枝准氏が全話の脚本を書き下ろしたアニメオリジナル作品となっており、非常に高い人気を博した作品でもあります。

ふと気が付くと、見慣れない場所に居た主人公・音無。初めに出会った少女・ゆりっぺから「ここが死後の世界であること」や、「神への反逆をおこなっていること」を説明され、半ば強引に反乱軍である”死んでたまるか戦線”への加入を決定されます。反乱軍の仲間たちと活動を続けるなかで、音無はこの世界の秘密や神の正体、自分の死の理由へと近づいていくのです。

この作品、舞台は学園なのですが、死後の世界という設定がプラスされており、登場人物は全員死んでしまっているというのが最大のポイント。「――神への復讐。その最前線」というキャッチコピーからも分かるように、全話を通して見てみると、不条理や理不尽に対する反抗、切望、諦念など、重めのテーマが扱われていることが分かります。

しかし、それらをあくまでポップに、悲しくなりすぎないように描き出しているところにKey作品の矜持が感じられるのです。

死という抗いがたい運命に対して少年少女がどのように向き合っていくのか、その姿をありありと映し出しながらも、笑いと涙が絶えることない傑作。センチメンタルな夏の夕暮れにピッタリの作品なので、ぜひ一度ご覧ください。

Key作品の共通点と見どころを紹介

Key作品の多くは「喪失」と「獲得(受容)」がテーマとして用いられており、恋愛を主軸にしているものの、恋愛だけが描かれているわけではありません。

例えば、「神様になった日」では、主人公の陽太は「主体性」や「大人としての決断」ができずにいましたが、物語が進むにつれてそれらを獲得していきますし、「Angel Beats!」においては「命」や「生きる権利」を失った少年少女が、自分の死を受容して前を向いて進む姿が描かれています。

いま、何かを探している人。いま、何かを見落としている人。いま、もう一度歩き出そうとしている人。そんな、生きようとしている人に向けて、Key作品は優しく温かいエールを送ってくれるのです。

泣きゲーを作り続けてきたKeyだからこそ生み出せる世界観やストーリーには、今なお多くの若者の心を惹きつける力があります。この機会に、ぜひおすすめした作品を通してKey作品の沼に浸かってみてはいかがでしょうか。

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