唯一無二の資産価値を持って発行される「NFT」。デジタルコンテンツに新たな価値を生み出せるようになるためその注目度は高く、国内の大手企業からゲーム会社などが続々とNFT事業へ参入し始めています。
近頃では「NFTで稼げる」そんな投稿や噂も。そこで本記事では、実際にNFTゲームで稼いだ経験を持つ編集部が「NFTとは何か」をわかりやすく簡単に解説いたします。
最も、NFTゲームやNFTアートで楽しんだり稼いだりすることに、NFTに関する深い知識は不要です。
「NFT」とは何か?
唯一無二の証明書が付いたデータ
NFTを簡単に言い表すのであれば「シリアルナンバーの付いた唯一無二のデータ」と言えるでしょう。
従来のウェブ上のイラストや楽曲などをはじめとする「デジタルコンテンツ」は簡単にコピーや改ざんができてしまうため、オリジナルデータとコピーデータの違いを見分けるのが難しいです。
しかしNFTは、オリジナルデータにさまざまな情報が記録された証明書が付くため、全く同じものをコピーして作り出すことができなくなります。
なぜ唯一無二の価値が付くのか?
NFTは「ブロックチェーン技術」を利活用しているため、ブロックチェーン上に記録された「今誰が保有しているのか」「どのような取引が実施されたか」などの識別情報を含めた「メタデータ」で価値が決まります。
そのためデータであってもイラストや楽曲などと同じように、コピーや改ざんをすることができない唯一無二の価値が付いたコンテンツを作り出すことが可能となります。
NFTの特徴について
“替えが効かないもの”になる
前述のとおり、NFTにはブロックチェーン技術が活用されているため世界にたった1つの一点もののデータとして作り出すことが可能です。
従来のデジタルコンテンツとは違い、NFTは1つひとつのデジタルコンテンツに価値の付きます。
さまざまな機能や情報を追加できる
NFTにはさまざまな機能や情報を追加することが可能です。
この新たな付加機能をデータに追加できることを「プログラマビリティ」と言います。
例えば「所有者が変わるごとにクリエイターに取引額の5%を報酬として還元する」といったプログラムをNFTに設定しておけば、二次流通されるたびに取引額の5%を報酬として受け取ることが可能になります。
NFTが活用されているジャンル
デジタル鑑定書・所有証明書として機能するNFTは、次のようなジャンルで活用されています。
- NFTゲーム
- NFTデジタルアート
- メタバース
それぞれどのようなものかチェックしておきましょう。
「NFTゲーム」とは
NFTゲームとは、ゲーム内のキャラクターやアイテムを、NFTを利用して資産化したゲームのことを指します。
つまり、ゲーム内キャラクターやアイテムで稼げるという特徴を持つゲームがNFTゲームです。
そもそもNFTの利用が始まったのはNFTゲームから
2017年11月に、NFTの元祖とされる「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」がリリースされました。
「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」は猫のキャラクターを購入するほか、集めたり繁殖させたりして販売ができるゲームです。
また、NFTゲームはゲームをプレイして稼げるためP2E(Play to Earn)と分類されることも。
P2Eと同じような分類あるいは派生するコンセプトとして、近年では次のようなサービスも展開されています(X2E)。
- P2E(Play to Earn):ゲームをプレイして稼ぐ
- M2E(Move to Earn):歩いたり走ったり、移動して稼ぐ
- S2E(Sleep to Earn):睡眠をして稼ぐ
- L2E(Listen to Earn):音楽を聴いて稼ぐ
- S2E(Search to Earn):検索をして稼ぐ
- E2E(Eat to Earn):食べて稼ぐ
- L2E(Learn to Earn):学習をして稼ぐ
- D2E(Drink to Earn):飲んで稼ぐ
「NFTデジタルアート」とは
NFTデジタルアートとは、画像や写真、音楽などのデジタルアートに対してNFTを活用したものです。
デジタルコンテンツは簡単にコピーできますが、NFTによって固有の価値を保つことができます。
1つの例を挙げると、世界的に有名なNFTアーティストとして「Beeple(ビープル)」が挙げられます。
Beepleは、「Everydays:The First 5000Days」というNFTデジタルアートを2021年3月12日に約6,935万ドル(約75億円)で売却しました。
「メタバース」とは
メタバースとは、インターネット上に構築された仮想の三次元空間のことです。
「VR(Virtual Reality)」と似ていますが、多人数がアバターを操作して自由に行動できる点に違いがあります(経済産業省委託調査報告書による定義)。
VRの中でも、「多人数が参加可能で、参加者がアバターを操作して自由に行動でき、他の参加者と交流できるインターネット上に構築される仮想の三次元空間」と定義した仮想空間を本調査の主対象とする
メタバースの代表例にはNFTゲームとしても知られる「The Sandbox」があり、メタバースが構築されています。
「The Sandbox」のメタバースには「LAND(ランド)」と呼ばれる土地があり、LANDはNFTとして譲渡や賃貸をすることができるためお金を稼ぐことが可能です。
NFTの「ガス代」とは何か?
取引時に発生する手数料のことを指す
事前知識としてNFTにおける「ガス代」を把握しておきましょう。
NFTの「ガス代」とは、ネットワークでトランザクション(取引)を実行するためのフィー(手数料)です。
つまり、NFTのガス代はイーサリアムなどのネットワーク利用手数料のことを指します。
ブロックチェーン上で処理が行われなければ取引はできないため、ブロックチェーンを動かすためのガス代と考えるとわかりやすいでしょう。
ガス代が発生するタイミング
具体的には以下の通りです。
- NFTマーケットプレイスにMetaMaskなどのウォレットを接続するとき
- NFTを購入するとき
- イーサリアム(ETH)などを送金する(取引所やウォレットに送る)とき
- NFTを発行(ミント)するとき
※マーケットプレイスによっては不要
NFTの始め方
NFTを始めるといっても、NFTに関連するサービスは多数あります。
本記事では、NFTゲームとNFTデジタルアートを前提にして解説していきますのでぜひ参考にしてください。
また、NFTを始めるために必要なものは一般的に次のとおりです。
- メールアドレス
- 暗号資産取引所の口座(アカウント)
- イーサリアム(ETH)などの暗号資産
- ウォレット(MetaMaskなど)
それでは、NFTゲームやNFTアートの始め方をチェックしていきましょう。
「NFTゲーム」の始め方
NFTゲームの始め方は、基本的にサービスページにアクセスして「SIGN UP(サインアップ)」からアカウントを作成するだけなので簡単です。
アカウントが作成できたら、ルールに沿ってゲームをプレイしましょう。
ただし、NFTアイテムを購入する必要があるNFTゲームや報酬を受け取る場合は、MetaMaskに代表されるウォレットをNFTゲームと接続する必要があるので事前に確認しておきましょう。
NFTゲームとウォレットを接続する際には、ガス代としてイーサリアムに代表される暗号資産(仮想通貨)が必要になることがあります。
事前に暗号資産交換業者(取引所)の口座を開設してイーサリアムなどを取得し、ウォレットに送金しておきましょう。
「NFTアート」の始め方
NFTアートの始め方は、まず暗号資産交換業者(取引所)の口座を開設してイーサリアムなどを取得し、MetaMaskなどに代表されるウォレットに送金します。
続いて、NFTマーケットプレイスと呼ばれるNFTのマーケット(市場)とウォレットを接続してアカウントを作成しましょう。
次に、NFTマーケットプレイスのNFT作成ページでファイルをアップロードして名前や説明、供給数、ブロックチェーンなどを入力・選択すると、ブロックチェーン上にNFTを作成(ミント)できます。
詳細はNFTマーケットプレイスによって異なりますが、世界最大のNFTマーケットプレイスであるOpenSeaでは、次のファイル形式をアップロード可能です。
項目 | 拡張子 |
---|---|
画像 | JPG / PNG / GIF / SVG |
動画 | MP4 / WEBM |
音声 | MP3 / WAV / OGG |
3Dモデル | GLB / GLTF |
ミントしたNFTはウォレットに入っているので、ウォレットのNFTから「Sell(販売)」を選択しましょう。
価格などを決めてウォレットで署名ボタンを選択すると、出品完了(リスト)です。
なお、ガス代はイーサリアムなどのネットワーク混雑状況によって決まります。
おすすめのNFTマーケットプレイス
NFTマーケットプレイスとは、個人間でNFTを売買するためのプラットフォーム(マーケット)です。
メルカリやラクマなどのフリマアプリでNFTの出品や購入できるとイメージするとわかりやすいかもしれません。
NFTマーケットプレイスは多くありますが、本記事ではNFT初心者が安心して利用できるおすすめのNFTマーケットプレイスを紹介します。
- OpenSea
- Coincheck NFT(β版)
- LINE NFT
OpenSea
「OpenSea」は世界最大のNFTマーケットプレイスとして世界中の人々から利用されています。
海外サイトではあるものの、日本語表示が可能。他のNFTマーケットプレイスのようにクリエイター(出品)としてコンテンツを出品するのに審査がなく、気軽にNFTで稼ぎ始められます。
OpenSeaでガス代が発生するのは、出品時ではなく購入オファーを承認した時(購入時)のみ。利用する際はガス代とは別に、販売手数料として2.5%が差し引かれることも覚えておきましょう。
Coincheck NFT(β版)
「Coincheck NFT(β版)」は、暗号資産交換業者(取引所)が国内で初めて運営するNFTマーケットプレイスです。
次のNFTゲームのアイテムを取引できます。
- The Sandbox
- Sorare
- CryptoSpells
- NFTトレカ
NFTの出し入れはCoincheckのウォレットを通じて行うため、通常必要となるガス代は出品時も購入時もかかりません。
ただしガス代とは別に販売手数料が設定されており、手数料率はメルカリと同じ販売価格の10%です。
LINE NFT
「LINE NFT」は、親しみやすい画面でNFTの売買ができるNFTマーケットプレイスです。
いつも利用しているLINEアカウントをもとにアカウントを作れるため、比較的利用しやすいNFTマーケットプレイスと言えるでしょう。
また、LINE独自のブロックチェーンである「LINE Blockchain」で取引を行うため、出品時や購入時にガス代が発生しない点がメリットと言えます。
ただし出品できるのは自分のコンテンツではなく、基本的にLINE NFTで購入したNFTまたはエアドロップされたNFTに限られる点は注意しましょう。
NFTを販売したことによる売上は、クリエイターの報酬が差し引かれてLINE Pay残高またはLINE独自の暗号資産LINKとして反映されます。
LINE Pay残高で受け取る場合、受取手数料が55円発生する点は把握しておきましょう。
NFTの注意点とデメリット
NFTによって、デジタルコンテンツなどが本物かどうか証明できるようになり、譲渡や賃貸ができるなど資産性を持たせられるようになりました。
一方、NFTには次のような注意点・デメリットがあります。
- NFTゲームのガチャは賭博法に抵触する可能性がある
- NFTで稼ぐと課税対象になる可能性がある
- NFTの取引をする際にガス代が大きな負担になることがある
NFTゲームのガチャは賭博法に抵触する可能性がある
一般に提供されているゲームのガチャをそのままNFTゲームにすると、賭博法という法律に抵触する可能性があります。
ガチャは偶然の勝敗であること、NFTアイテムが財産上の利益になることについては該当しており、ガチャの設計によっては得喪(損得)を争う行為として賭博が成立してしまうのです。
一般的なゲームの要素の1つであるガチャの設計が難しいため、NFTゲームの普及が進まない原因の1つになる可能性があります。
※参考:日本暗号資産ビジネス協会「NFTビジネスに関するガイドライン」
NFTで稼ぐと課税対象になる可能性がある
NFTで稼ぐと、所得税や住民税の課税対象の所得(利益)となる可能性もあるため注意が必要です。
国税庁のタックスアンサーによると、NFTがほかの財産的価値のある資産と交換できる場合は、次のような課税関係になると示されています。
取引区分 | 所得区分 | 考えられる例 |
---|---|---|
役務提供に より取得 |
事業所得 / 給与所得 / 雑所得 | クリエイターのロイヤリティ |
臨時・偶発的に 取得 |
一時所得 | エアドロップ ※対価性のないガチャ・ミステリーボックス |
上記以外の取得 | 雑所得 | 対価性のあるガチャ・ミステリーボックス |
譲渡(売却) | キャピタルゲインと認められる場合は譲渡所得 ※営利目的で継続的に行われている場合は雑所得または事業所得 |
NFTを暗号資産(仮想通貨)に交換した ※暗号資産(仮想通貨)でNFTを購入した場合は雑所得 |
まず、「NFTがほかの財産的価値のある資産と交換できる場合」については、一般的にイーサリアム(ETH)などと交換できるため課税対象といえるでしょう。
仮にエアドロップやミステリーボックスなどでNFTをもらった場合、臨時・偶発的に取得したため一時所得の収入金額として所得税や住民税の課税対象となる場合があります。
また、NFTを暗号資産(仮想通貨)に交換したときにキャピタルゲイン(資産の値上がり益)と認められれば、譲渡所得として課税対象です。
最も、FT・NFTを譲渡(売却・交換)した場合の利益がキャピタルゲインと認められるかどうかについては、現時点で明確には定まっていません。
ちなみに暗号資産を譲渡した場合の利益については、原則として通貨とのレート変動によるものであって資産の価値が増加した(キャピタルゲイン)とは認められず、雑所得に区分されるとしています。
なおNFTをイーサリアム(ETH)で購入するとき、受け取ったNFTは課税されないものの、イーサリアム(ETH)を安く買って高く売ったことになれば雑所得として課税対象です。
※参照:国税庁「No.1490 一時所得」
※参照:国税庁「No.3152 譲渡所得の計算のしかた(総合課税)」
※内容は2023年2月20日時点の税制・解釈によります。今後取り扱いが変更される可能性がある点はあらかじめご了承ください。
NFTの取引をする際にガス代が大きな負担になることがある
NFTというよりブロックチェーン自体のデメリット・注意点ですが、ガス代と呼ばれる手数料を負担することがあります。
NFT取引で利用されることが多いイーサリアムにおけるガス代とは、イーサリアムブロックチェーンで取引(トランザクション)を処理してくれる人への報酬やプログラム処理手数料のことです。
NFTはイーサリアムのブロックチェーンを使うことが多く、NFTを取引するうえで原則として欠かせない負担となります。
NFTに関するよくある質問
NFTって何がすごいの?
NFTは、デジタルコンテンツについて原作者や保有者が誰か、複製品(海賊版)ではないかを証明できる点がすごいといえます。
その結果、ゲームアイテムやデジタルアートについて安心して転売を含む売買ができるようになりました。
このように、NFTはゲームアイテムやデジタルアートを資産化できる点が画期的です。
NFTでの稼ぎ方は?
NFTでの稼ぎ方は次のとおりです。
- NFTゲームでキャラクターやアイテムを譲渡・賃貸して稼ぐ
- 画像や動画、音声、3Dモデルなどを創作しNFTマーケットプレイスで売って稼ぐ
- NFTマーケットプレイスで転売して稼ぐ
なお、NFTゲームのなかには眠って稼ぐ(S2E)や食べて稼ぐ(E2E)など稼ぎ始めるだけならそう難しくないものもあります。
まずは自分に合った稼ぎ方を実践してみましょう。
また、NFTの最新情報については『NFT Media』など専門メディアの情報もチェックしてみて下さい。
NFTで稼ぐためには初期投資とかお金がかかるの?
NFTで稼ぐためには、マーケットプレイスが設定する手数料やネットワーク利用料(ガス代)などを負担します。
また、NFTゲームによってはアイテムを購入するといった初期投資が必要です。
本当にNFTで稼げるの?
一般的に、NFTで少額を稼ぐことは簡単ですが、大金を稼ぐのは簡単ではありません。
例えば、NFTマーケットプレイスで自分の作品を高値で売るためにはブランド力や話題性が重視される傾向にあります。
実際に稼いでいる人は、TwitterなどのSNSでマーケティング(宣伝)しているという例も少なくありません。
NFTゲームにおいても、アイテムを購入するために初期投資が必要な場合もあるなど、初期投資分を回収できるかどうかは不確実です。
ただし、継続すればするほど利益を出せる確率は高まります。
NFTやイーサリアムの価格変動もあるため、高値になって交換・売却するという時間の余裕も求められるでしょう。