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『ペルソナ3 リロード(P3R)』のクリアレビューです。シリーズファンが熱狂する本作の魅力を伝えるため、過去作からの変更点や新規要素を中心に約75時間のクリアレビューをお届けしますので、参考にしてください。

『ペルソナ3 リロード』ゲーム紹介

人気シリーズ「ペルソナ」ナンバリング3作目のリメイク

『ペルソナ3 リロード』は2024年2月2日アトラスより、PS5/PS4/Xbox Series X|S/Xbox One/PC向けにリリースされたRPGゲーム。2006年に発売された『ペルソナ3』にグラフィック刷新や多数の追加要素などを実装し、『ペルソナ5』をベースにした現代水準でリメイクされている。

「ペルソナ」は世界に名を轟かせる人気シリーズであるが、その第一歩は本作のオリジナル版が踏み出したと言っても過言ではないだろう。元はと言えば1996年に『女神異聞録ペルソナ』として、タイトル通りアトラスの主軸「真・女神転生」の外伝として産声をあげた。そのナンバリング3作目となる『ペルソナ3』は、過去作における大きな魅力の「ジュブナイル」要素を前面に押し出し学生生活シミュレーターというべきスタイルへ、スタイリッシュなグラフィック演出やクールな音楽とともに、方向転換した記念碑的なタイトルである。

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筆者もPS2でオリジナル版をプレイし、それからのゲーム観がガラリと変わるほどの影響を受けた記憶が鮮明に存在する。当時は主人公たちと同年代の中高生だったが、十数年を経た今では『ペルソナ3 リロード』を当時を懐かしみ、卒業アルバムをめくるような感覚でプレイしていた。本記事はそんな「ペルソナ」シリーズ、ひいてはアトラスファンの視点で執筆させていただきたい。またプレイにあたってはXbox Series X|Sでプレイを行い、クリアまで75時間ほどであった。レビューではストーリーの核心には迫らないものの、シナリオの構成やキャラクター・システムへの言及があるため注意願いたい。

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『ペルソナ3 リロード』ストーリー紹介

「死」をテーマにしたジュブナイルストーリーが特徴

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物語は2009年、10年前に両親を事故で亡くした主人公が、舞台となる港区「辰巳ポートアイランド」の私立月光館学園に転校してくることからはじまる。引っ越し早々「シャドウ」と呼ばれる怪物の襲撃をきっかけに「ペルソナ」という力に目覚め、特別課外活動部(S.E.E.S.)に加入。日中は学生としての生活に励み、登場人物たちとの交流を深めながら、1日と1日の狭間「影時間」に現れるシャドウを討伐するという二重生活を送ることとなる。

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テーマは「メメント・モリ(死を想え)」つまりは死生観にフォーカスされており、メインストーリーやコミュのライトな印象の裏には、ずっしりとした重さをともなうシナリオが横たわっている。しかし物語を「死」や「別れ」を中心に描きながらも暗い雰囲気に終始しておらず、コミカルさを交えながら表裏一体とも言える「生のきらめき」も同時に描写しているのも特徴。それにより、人は例外なく必ず死ぬ“だからこそ”毎日を楽しみ、日々の一瞬を大切して悔いの無いように生きることが大切だというメッセージ性に説得力が増している。

『ペルソナ3 リロード』キャラクター紹介

新要素でオリジナル版以上にキャラクターへ感情移入できる

『ペルソナ3 リロード』のキャラクターの魅力は学生らしい等身大さだと考える。本作ではじめて『ペルソナ3』に触れるという人は、特に序盤で描写されるパーティーメンバーから嫉妬・八つ当たりをされたり、仲間がほかのS.E.E.S.メンバーの陰口を言ったりする関係性に驚き、不快に感じた人もいるかもしれない。だがよく考えてほしいが、そもそも友達でもなんでもない、打倒シャドウに対するモチベーションもバラバラな寄せ集めの人間同士が集められ、突然命をかけてほしいと言われてなにも問題が起こらないはずがない。

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私の学生時代を思い出してみても、同じく寄せ集めだった教室のなかには仲のいい人もいれば、まったく性格が合わない人がおり、物分かりよく聖人君子のようにいられた記憶はない。だからこそ、たまたまペルソナ召喚の適性があっただけの少年少女がヤケクソの覚悟を決め、突然手に入れた力と人間関係に振り回されながら、妥協と衝突をくり返し徐々に絆を深めて足並みを揃えていく等身大の姿を美しいと感じるのだ。

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ただしオリジナル版において、プレイヤーを納得させるだけのキャラクターの掘り下げが不足していると感じた人物がいたのも事実。たとえば伊織順平や真田明彦などの男性陣は、『ペルソナ3 ポータブル』の女性主人公でのプレイ時以外、「コミュ」と呼ばれる絆を育むことができなかった。そのため常に一緒にいるメンバーにも関わらず、人物背景がストーリーで描かれるのみで「何を考えているのか分かりにくい」という点も、上記のギスギスとした雰囲気に拍車をかけていた部分もあるだろう。

ペルソナ3リロード_クリアレビュー07 ▲真田明彦のリンクエピソードでは、あまり語られてこなかった養父母の話も登場

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だが本作で新たに追加された「リンクエピソード」で、今まで描かれてこなかったキャラクターたちの描写が大幅に強化。抱えている悩みやストーリー進行に応じたやり取りが逐次描かれ、人間らしさ・感情移入度がオリジナル版に比べて増し、主人公との距離も縮まっているように感じた。そして「リンクエピソード」以外にもS.E.E.S.メンバーと野菜を育てたり、一緒に料理を作ったりなどできる交流要素も増えている。こちらは中盤以降やることがなくなりがちな夜の時間でさらにキャラクターを掘り下げられると同時に、仲間が「特性」と呼ばれるパッシブ能力に目覚めて有利になる。絆が力になるという「ペルソナ」シリーズらしい説得力のある要素だ。

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「テウルギア」という必殺技も新しく実装され、こちらは派手な演出でバトルにメリハリをつけ盛り上げている。キャラクターごとに「ゲージ上昇個性」が設定され、テウルギアゲージが溜まりやすい行動が決まっているのが特徴。根が優しいヒロイン・岳羽ゆかりであれば回復、シャドウ制圧用の兵器であるアイギスであれば物理スキルの使用であるなど、ゲージを溜める行為がキャラクター理解につながるフレーバーとしての役割も果たしている。

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『ペルソナ3 リロード』システム紹介

『ペルソナ5』ベースのシステム改良で、ストレスフリーな体験が味わえる

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『ペルソナ3』以降のバトルの特徴として、敵の弱点を突いたりクリティカルを与えたりしてダウンさせると、再行動できる「1MORE」を狙うのがセオリー。すべての敵をダウンさせるとパーティー全員で「総攻撃」を行え相手を一掃できる点が魅力であり、コマンドバトルでありながら爽快感とテンポの良さを実現している。本作では「シフト」と呼ばれる1MOREを発生させたキャラクターは、ほかのメンバーに追加ターンを渡せるシステムを導入。こちらは『ペルソナ5』における「バトンタッチ」にあたり、原作において複数のペルソナを使いこなす主人公以外で1MOREを発生させても、総攻撃に繋げられないケースが多かったため、非常に便利な要素だ。またワンボタンで各コマンドが実行可能な「ダイレクトコマンド」や、自動で弱点属性を判定する「アシスト機能」なども『ペルソナ5』から引き継いでおり、現代的なJRPGと比較しても引けを取らない。

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また特にバトル面でうれしかった点として、光・闇属性の攻撃呪文が追加され仲間の天田乾とコロマルの活躍の幅が広がっていることを挙げたい。オリジナル版において光と闇は即死呪文だけであり、ボスには無効ということでその使い手である2人は非常に使いにくかった。タルタロス内で「薄明の欠片」を一定数消費すると出現する、「大時計への入り口」で仲間のレベル差を埋められることも含め、パーティーメンバーが固定化しにくいのが本作の秀逸な部分で、積極的にさまざまなキャラクターも使ってみたいと思わせることに成功している。

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続いて『ペルソナ3 リロード』で改良されたシステムとして、ダンジョンの「タルタロス」が挙げられる。ランダム生成されるエリアをのぼり続けていく構造だが、オリジナル版ではあまりに代わり映えのしない画面と単調さに苦行であると評されることもあった。本作では、道中に破壊できるオブジェクトや巨大なレアシャドウ、新アイテム「薄明の欠片」を使う希少な宝箱が追加されている。また「モナドの扉」や「モナド通路」などの報酬付きの腕試し要素もあり、こうしたシステムのおかげで原作よりプレイヤー側からのインタラクション要素が格段に増え、探索時の起伏ができていると感じた。

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ただタルタロスは、200階越えの超高層ダンジョンなのだ。中盤までは「改善されていてすごい!」と思っていても、徐々に攻略ルーティンが新要素も含めたものと変わり、オリジナル版同様の作業感を覚えざるを得なかった。この点は続編である『ペルソナ4』にて、それぞれの精神世界という形で毎回ダンジョンに新鮮味を感じさせる方向へと変更。『ペルソナ5』ではメインダンジョンではない「メメントス」という形で、自動生成ダンジョンを実装したことから考えても、開発陣もタルタロスの単調さは問題であると認識していたはずだ。しかし『ペルソナ3』ではタルタロス自体が、舞台設定やストーリー進行の大軸になっている。だからこそ作品の瑕疵であると認識しつつも、本作が『ペルソナ3』という作品である限り、システムの抜本的な改修ができなかったのではないか。

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そしてバトル以外の点ではストーリーを進めるなかで、ベルベットルームの住人エリザベスから「〇〇を持ってきて」「〇〇を見てみたい」などの依頼を請け負うことがある。達成するとゲームが有利になる報酬が受け取れるだけでなく、システムのチュートリアルとしての役割も持っている。たとえば「色んなジュースを飲んでみたい」は、さまざまなコミュ解放に必要な人間パラメータを上げて夜のクラブで情報を入手し、学生寮の共用パソコンを駆使して自販機の隠し要素を確認するという手順を踏まなければならない。システムの説明はテキストでも行われるが、実際にゲーム中の流れに沿って使い方をレクチャーすることで、新要素を使いこなせるようにコンテンツ同士を繋げる自然な動線を敷いているのだ。そのプレイヤーを見捨てないセーフティーネットの広げ方には、長年RPGを制作してきたアトラスだからこその巧みさを感じた。

『ペルソナ3 リロード』プレイ感想

『ペルソナ3』という作品に完璧な補完を加えた完成形

『ペルソナ3 リロード』は、タルタロスという『ペルソナ3』だからこその難点を抱えつつ、オリジナル版に完璧な補完を加えた完成形といって過言ではない名作だ。正直な話をすると今までアトラスがリリースしてきたリメイク作や完全版は、新要素として原作とかけ離れた要素が足され、オリジナル版のイメージを損なうというケースが少なくなかった。

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しかし本作では“らしさ”を保ったまま、足りなかった描写の補強や欲しかった改修が加えられており、『ペルソナ3 リロード』からプレイした方は、どこが追加部分なのか分からないほどに馴染んでいる。この点は開発陣が『ペルソナ3』に必要なもの・不必要なものを丁寧に精査したからなのだろう。2006年にリリースされたタイトルのリメイクが、2024年に再装填されJRPGの最先端として存在している。その事実を喜ぶと同時に、今後の「ペルソナ」シリーズは大丈夫だろう。そう思えたタイトルだった。

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この記事の執筆者
SIGH_icon SIGH
フリーのゲームライター。RPGとADVと猫が好き。
人生を変えたゲームは、科学アドベンチャーシリーズの『CHAOS;CHILD』
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