1月22日にリリースされた話題の新作『アークナイツ:エンドフィールド』。初の大型タイトルを控える本作のレビュー記事をお届けします!
『アークナイツ:エンドフィールド』ってどんなゲーム?
『アークナイツ:エンドフィールド(以降、『エンドフィールド』)』は2020年にリリースされたタワーディフェンスRPG『アークナイツ』の続編です。プレイヤーは「集成工業システム」を用いてタロⅡの大地を開拓しつつ、争いが残り謎も深い世界を冒険していくことになります。
一部、前作と馴染み深い強化システムなどを残しつつも、タワーディフェンスだった『アークナイツ』からシステムはガラッと変わり、本作は「3Dアクション&工場自動化」になりました。
小ネタとして前作ファンには嬉しかったりする繋がり(や、あまり嬉しくなかったりする悲しい事実)も散りばめられていますが、本作は前作と繋がりのない“工場自動化”というゲームジャンルに足を踏み入れたのです。
この“工場自動化”というジャンルは比較的ゲームの中でもマイナーに位置するジャンルです。工場に限らず、様々な生産ラインを扱うため「自動化」と言われたりもしていますが、本稿ではゲーム内の「集成工業システム」にあわせて工場自動化と呼称していきます。

そんな『エンドフィールド』のリリースから、はや一ヶ月すこし。大型アプデも間近です。ある程度の人がプレイし評価が定まりつつある今、あらためて本作をレビューしていきしょう。
同時に読者の方々にもこの期間で言えるようになった“自分なりの感想”があるはず。初の大型アプデ前の本作における個人的評価を考えるきっかけになれば幸いです。
※本稿の大部分は、3月1日の「開発者日誌」公開以前に執筆しています。
『エンドフィールド』の“工場自動化”に沼った!
- 『エンドフィールド』のここがオススメ!
- 沼ってしまう“工場自動化”の楽しみ!
- 読みやすく没入しやすいストーリー
- 美麗な3Dモデルと世界観
そもそも、前作『アークナイツ』ってどんなゲーム…?
まずレビューの前提として、筆者は『アークナイツ』をプレイしていたユーザーのひとりです。そんな『アークナイツ』ファンが本作に触れてまず驚いたのは、“物語が前作より明るく、わかりやすくなっている”という点です。『エンドフィールド』も死や別れが身近にある物語ですが、『アークナイツ』に比べるとかなり取っつきやすい印象です。ファン風に表現するならば、“陰鬱じゃない”といった所でしょう。
前作『アークナイツ』を知らない方のために、ざっくり概要を説明していきましょう。『アークナイツ』で、プレイヤーは謎多き「ドクター」となり、「鉱石病(オリパシー)」という病の治療法を求め、製薬会社「ロドス・アイランド」にて「テラ」と言う大地を旅していきます。
「鉱石病(オリパシー)」は、感染すれば(タイミングに差はあっても)死んでしまう病です。これは「源石(オリジニウム)」との接触で発症しますが、厄介なのは、テラでは「オリジニウム」は電気のようなもので、文明社会に必須なのです。感染者は、「アーツ」と言われる魔法のような能力を手に入れたりもしますが「感染するかも」という偏見から迫害されています。
『レインボーシックス シージ』コラボイベントより
感染者を巡る差別に偏見、容赦無く突きつけられるキャラの余命、大国間の政治的な内紛など……『アークナイツ』は相当にヘビーな物語。コラボキャラがくるたびに「こんな世界に来て大丈夫か」なんて心配されたりする世界でした(この重さこそ、ファンが好きな『アークナイツ』なのですが!)。
ロドスではなく、“エンドフィールドの物語”。
しかし、その100年ほど先の未来が舞台となる、『エンドフィールド』では、「鉱石病(オリパシー)」は致命的な病ではなくなっています。『アークナイツ』での努力が実ったのでしょう。

同時に、テラではなくタロⅡという新たな惑星を開拓する物語。タロⅡにも開拓の歴史はありますが、歴史的な軋轢や発展しすぎた都市の闇というものは(今のところ)『エンドフィールド』にはありません。フレーバーテキストでは過酷な事情も覗けますが、メインシナリオでは暗い側面を感じさせません。

「本作が多くのユーザーが楽しめる方向に舵を切った」という意思が強く伝わりますし、事実、新規層も離脱していたユーザーも『アークナイツ』の世界に触れやすくなったはず。
『アークナイツ』は、基本的に重厚な設定に裏打ちされ“知れば知るほど面白い”作品です。海外を初めとした一部ファンからは「重厚さが『アークナイツ』の魅力だった」という声も見られますが、筆者はこれを『アークナイツ』と『エンドフィールド』を別軸で展開していく方向性なのだと理解できます。

要するに、住み分けです。同じシリーズではあるもののターゲット層は違うのです。筆者は『アークナイツ』も好きですが、それとは別に『エンドフィールド』の世界も好きになりました。そもそものゲーム性が「2Dタワーディフェンス」「3DACT&工場自動化」と違います。

個人的には、「レーヴァテイン」のキャラエピソードが『アークナイツ』と『エンドフィールド』の違いを強く意識させてくれる秀逸な内容となっていて好印象でした。
本作では『アークナイツ』のキャラと似た容姿、性格のクローン的なキャラたちが登場するのですが、「レーヴァテイン」もそのひとり。『アークナイツ』キャラの「スルト」と瓜二つです。ここではレーヴァテインがスルトという存在と向き合う内容が描かれます。気になった方はぜひチェックしてみてください。
沼にズブズブ……「集成工場システム」で時間が溶ける!
『エンドフィールド』最大の特徴は「工場自動化」というジャンルを採用したこと。改めてになりますが、このジャンルはやっぱりマイナーでニッチな領域です。ヘビーゲーマーの中では“ハマれば沼る”ジャンルとして有名ですが……なにせ勧め文句がどうしても「工場の生産ラインを最適化していくの、楽しいよ!」になってしまうのですから勧めづらい。嘘は言っていないけど、なんだか虚しい言葉です。

そんな中で『エンドフィールド』は果敢にも「集成工場システム」というシステムをもって「工場自動化」ジャンルをメインに設定しました。尖っていて、正直に言って驚きの決断です。そして(リリース初期のため、そのボリュームはともかく)自動化におけるクオリティもかなり高い。
四号谷地では電線が主体となり、一方で武陵では水を通すパイプがメイン。“土地ごとに生産ラインのテーマを分ける”というのも面白い工夫ですね。次の土地では何を生産させてくれるのか、期待が膨らみます。

そして重ねて驚くのが、「工場自動化」と「ライブサービス型ゲーム(運営型ゲーム)」が意外にマッチしていること。相性というより、非常に上手く融合させたというべきなのかもしれません。
ライブサービス型ゲームにおいて“プレイヤーが実装コンテンツに飽きる前に新規コンテンツを追加する”ことが理想なら、「時間が溶ける」ことに定評のある工場自動化ジャンルはかなり相性が良いのではないでしょうか。メインコンテンツが特別な手を加えずとも、そのままエンドコンテンツとなっているのです。

正直に言って、遊び始めた直後は「すぐに飽きてしまうかも知れない」とすら思ってしまいました。しかしリリース以降、自分のペースでずっと遊び続けている!
ネットでは、生産ラインを工夫して“驚くべき発想”を披露している方々も多くいます。筆者はそこまではいかないけれど、ちょっとゲームを起動し、工場を多少いじってその結果を楽しみに明日を待つ。そんなサイクルが筆者の中で出来上がっているのです。
向き不向きはあるかもだけど、“唯一無二”な作品!
- 『エンドフィールド』のここが気になる…!
- 良くも悪くも尖った“集成工場システム”
- 改善して欲しい要素もちらほら
- 管理人のお仕事、やること多すぎ!
自動化ジャンルは万人向けじゃないけど、大多数に刺さるだろう
しかし、その一方で「集成工場システム」に懸念点があるのも事実です。それはシンプルに人によって向き不向きがあるということ。どうしても「工場自動化が好きではない」という層も一定数いるはず。
そんな方にはAppMediaにて紹介している「集成工場システム」が楽になる「共有図面」がオススメ!……と、宣伝を挟みつつ、『エンドフィールド』が“人を選ぶゲーム”であることは否定できないでしょう。

「集成工場システム」の奥深さは、そのまま“やることの多さ”に直結しています。シンプルにストーリーを進めていくだけでは『エンドフィールド』は遊び切れず、どの施設によってどういう部品が製造できるかを把握していくことが「包括的なプレイレベルの向上」につながるのです。これが面白さであり、同時に人を選んでしまう理由となってしまうでしょう。
ネットで言われている愚痴の多くは“解決不能の案件”じゃない!

3Dは手放しで褒められるほどに美麗です。武陵などは竹藪も多く、マップデザインとして美しい中国風の風景が広がります。四号谷地はまさしく荒地といった感触ですが、随所に「荒地なりの美しさ」があって、「……ここに電柱を立てなきゃいけないのか」とか、謎の葛藤が発生するほど。

そのうち大自然を開拓するのが逆に快感になってくるのですからちょっと背徳的ですね!
しかし、3Dとなった弊害もあります。たとえばキャラの親密度を上げるという行為。前作『アークナイツ』ではタッチひとつで基地やホーム画面に移動して多くのキャラと交流できましたが、今回は拠点内でのマップ移動が必要となってしまい多少面倒。SNSでは3Dアクション面を他作品と比較する声なども上がっています。これに関しては、3Dアクションは多くのゲームが挑戦しているレッドオーシャンですので「他と比べてこう感じる」と言われてしまうのは仕方ないでしょう。

とはいえ、これらの“気になる点”をあげつつも筆者はここまで遊んだ結果として『エンドフィールド』を高く評価します。その理由としては“今抱いている不満点の多くは、根本的で解決不能じゃない”という点です。今後のアップデートで十二分に改善可能な“不満点”に見えるのです。
そして“やることの多さ”に関しては、一つ一つのクオリティが低かったのならマイナスポイントですが総じてクオリティが高め。「時間が足りない」という嬉しい悲鳴だと感じます。
……数少ない「根本的な問題」を挙げるとしたら、それは“集成工場システム(工場自動化)が好きかどうか”、そして“膨大な情報量に耐えられるかどうか”です。「理解すべきことが多い!」はリリース当初、本当に多く聞いた言葉で、筆者も悩んだところです。ただ、これを乗り越えたなら一気に『エンドフィールド』は楽しくなります。
本作は前作から重厚な世界観を引き継ぐ物語、工場自動化という尖った面白さ、アニメテイストかつハイクオリティな3D……これらの組み合わせによって『エンドフィールド』は“唯一無二のゲーム性”を実現しているのです。
工場自動化はゆったりプレイに向いている?

実は、本稿執筆時はちょうど次の大型アップデート情報が到着したタイミングあたり。そこではUIや操作性、戦闘面などでの全体的な調整が行われると明かされましたし、実際に数日後には改善されているでしょう。
主な方向性としては、筆者が懸念していた「やることが多い」を短縮化してくれるというもの。まだまだ短縮して欲しい箇所は残っていますが、初の大型アップデートで示された改善の路線がユーザーと大きく乖離していないのは幸いです。ここまで遊んだ感想としては、『エンドフィールド』は今後長続きする大型タイトルの一つだと結論づけました。

さて、リリースから今まで、賛否や戸惑いがありつつも「このゲームは『アークナイツ』の代わりではない」とユーザーに理解させてくれたのは大きいでしょう。万人に良い顔をせず、「このジャンルを好きな人間にはぜひ遊んで欲しい」とターゲット層を明確にしているのも好印象です。
筆者は今の所、『アークナイツ:エンドフィールド』を「次のアップデートまでにある程度、工場の環境が整ったらいいな」くらいの速度で、ゆったりとプレイしていく予定。読者の皆様はどのように感じられましたか?


















