第1話の冒頭からぶっ飛んでいる春アニメ随一の怪作！？『エスタブライフグレイトエスケープ』視聴レビュー！

2022年4月よりフジテレビ『＋Ultra』での放送をはじめ、各種動画配信サービスにて配信中の『エスタブライフグレイトエスケープ』。本作は『コードギアス』や『プラネテス』などで知られる谷口悟朗氏企画のもと、『ご注文はうさぎですか？』の橋本裕之氏、『フルメタル・パニック！』の作者である賀東招二氏と言った豪華制作陣が名を連ねるメディアミックスプロジェクトだ。

今回は本作の概要と共に、1～3話のレビューと合わせて作品の魅力や注目ポイントについて紹介していきたいと思う。本作を未視聴の方はぜひ参考にしていただけると幸いだ。

※本記事には1~3話の一部ネタバレを含みます。ご注意ください。

『エスタブライフグレイトエスケープ』とは

毎話予測不能な展開で我々の想像を超えてくる作品

本作の舞台となるのは遠い未来の東京。AIによって管理された東京は数多の地域（クラスタ）に隔てられ、それぞれのクラスタには人間をはじめ、獣人・サイボーグ・魔族など、多様な姿を持つ人々がそれぞれのクラスタで独自の文化・常識を育み、生活を送っている。

基本的に人々は生まれたクラスタの常識を基準に人生を送ることとなるのだが、中には自らのクラスタの文化・常識に適応できない者も存在する。そんな人々を別のクラスタへと逃げる手引きをする者たちの事を人は『逃がし屋』と呼ぶ。

逃がし屋は人々を別のクラスタへと逃がす事を生業としているのだが、主人公が所属する逃がし屋の逃がし方ときたらそれはもう奇想天外の連続だ。はるか上空からワイヤーを使って投げ飛ばす事もあれば、大きな大砲を駆使して別のクラスタへ打ち飛ばしたりなど、毎回我々視聴者の予想の斜め上を行く方法で人々を逃がしていく。

そんなぶっ飛んだ手法を好んで（？）使用する逃がし屋は女子高生を中心に構成されているというのだからさらに驚きだ。次項では所業相応と言っても過言ではない、癖のあるメンバーを紹介したいと思う。

一癖や二癖どころではない逃がし屋のメンバー達

エクア（CV：嶺内ともみ）

本作の主人公を務める『エクア』。17歳にして御茶ノ水大学園都市を本拠地とする逃がし屋のリーダーであり、普段は喫茶店を切り盛りしながら学校へ通う女子高生。

女神のような笑顔で分け隔てなく人々に接する彼女だが、逃がし先をサイコロで決めるなど、時折がさつな一面が顔を覗かせる。奇想天外な逃がし方についてもおそらく彼女が原因だと思われる。

フェレス（CV：高橋李依）

運動能力抜群で強気な性格の持ち主である魔族の『フェレス』。エクアとは同級生でもあり、逃がし屋では前線を担当するガンウィザードだ。

その射撃技術には目を見張るものがある一方、性格に反して意外と押しに弱く、その点でエクアに良いようにされている節も否めない。

マルテース（CV：長縄まりあ）

エクア達の1つ年下の後輩であるスライム人間の『マルテース』。逃がし屋ではその能力を活用し、主に工作や破壊を担当している。またエクアが大好きで、全ての判断基準はエクアに準じている。

そんな彼女だがスライム化した直後は着用していた衣服が消滅するというファン歓喜（？）のハプニングがお決まりで、彼女がスライム化する際は本作でも随一の注目シーンとなる。

アルガ（CV：速水奨）

エクア達をサポートするAIロボット『アルガ』。見た目に寄らずおじさんくさい話し方をするのだが、担当に関しては見た目通りと言った所で技術、戦術周りのサポートがメインとなる。

女子高生が中心となる逃がし屋において、アルガのおじさんくさいキャラクター性がまた良いスパイスとなっている。

ウルラ（CV：三木眞一郎）

超回復と脅威的な身体能力を駆使した近接戦闘を武器に、前衛を担当する狼の獣人『ウルラ』。逃がし屋では一番の常識人である。

スマートな立ち居振る舞いに加え、その凛々しい見た目が印象的なウルラだが、『わんっ』としか鳴けない（話せない）非常に残念な一面を持ち合わせている。

『エスタブライフグレイトエスケープ』1話～3話レビュー

第1話から衝撃的な展開で幕を開ける

物語としては1本の大筋が通っているものの、基本的には1話完結の構成となる本作。第1話は冒頭から依頼主を別のクラスタへと逃がす最中の緊迫したシーンにて幕を開けるのだが、早速各メンバーの特徴が伺える戦闘シーンが繰り広げられる。

フェレスの卓越した射撃技術に盛り上がる一方、戦闘の最中にマルテースの頭部に銃弾が炸裂し頭部もろともはじけ飛んだり、クールな見た目とは裏腹に『わんっ』と鳴きながら敵を蹂躙するウルラのシーンなど、初っ端から凄まじい情報量の戦闘が展開される。マルテースがはじけ飛ぶシーンでは思わず声が出てしまったという視聴者も多いはず。

そしてひと仕事を終えたあとはエクア達の日常が描かれるのだが、各メンバー同士が絡む日常シーンも本作を語る上で欠かせない要素の1つだ。いがみ合うマルテースとフェレスのやり取りをはじめ、エクアの過剰にも見えるスキンシップなど、日常シーンでは各メンバーの性格が色濃く表現されており、彼女達の性格をより深く知る良い機会となる。

”逃げたい”人々が抱える様々な背景

逃がし屋に逃走のサポートを依頼する人々はそれぞれ今の環境に不満や絶望を抱えているケースが主となる。永遠に同じ事を繰り返すような人生に絶望した者もいれば、更なる表現の場を求めて別のクラスタへ移住を望む者もいたりと、AIによって管理されたクラスタという環境が故に悩みが生まれ、脱出を決意する様子が伺える。

中にはヤグザの親分という身を捨て『魔法少女になりたい』という利己的な理由で別のクラスタへ移住を図る稀有な者もいるのだが…。逃げたい理由は人それぞれあれど、依頼者はともに『自由』を求めているという点が本作の物語において1つポイントとなりそうだ。

また逃がし屋のメンバー達もそれぞれ特殊な背景を抱えている節が見受けられ、その背景こそが逃がし屋という職業に就くきっかけとなっているようだ。2話では依頼者の逃がしを遂行すると共にフェレスの過去についても言及されるのだが、その他のメンバーの背景についても今後明らかになっていく事が予想される。

大怪盗さながらの予測不能な脱出劇

逃がしを行う際のドンパチは切っても切れないものである。逃がし屋は本作の世界においてはお尋ね者であるため、クラスタを管理するAI側も逃がし屋の排除には徹底しているようだ。逃がしの行為が判明するやいなやAIロボットによる激しい追跡が開始する。

そこで逃がし屋のメンバーは各々の力を発揮し依頼者の脱出のサポートするのだが、その脱出劇はまさに大怪盗のそれと言っても過言ではない。最新技術を駆使して高層タワーをよじ登ったり、はたまた銃撃戦で強引に切り抜けたりと、見ごたえのあるアクションシーンも本作の大きな魅力の1つである。

『エスタブライフグレイトエスケープ』視聴をしてみて

ツッコミ所は満載だが全体的なバランスは◎

個性豊かなキャラクター達の日常に癒され、迫力満点の逃走劇に男心をくすぐられる、『エスタブライフグレイトエスケープ』は各要素が良い塩梅で盛り込まれた作品だ。

そしてAIによって管理された社会を舞台とした物語は、我々の未来にも通ずるものがあり、ある種の問題提起ではないかと筆者は考える。

本作の楽しみ方は多岐に渡るが、依頼者の立場を想像しながら本作を視聴することで、よりリアリティのある体験を楽しむことができるだろう。ぜひ1度視聴してみてほしい。

『エスタブライフグレイトエスケープ』作品概要

フジテレビ「＋Ultra」にてほか各局にて放送中

『エスタブライフグレイトエスケープ』はフジテレビ「＋Ultra」にてほか各局にて放送中だ。動画配信サービスではFODにて独占先行配信中となり、地上波に先行して既に全話が配信中となる。本作を先んじて全話視聴したいという方はFODで視聴する事をおすすめするぞ。

『エスタブライフグレイトエスケープ』公式サイトはこちら

放送・配信スタッフ・キャスト

放送情報

フジテレビ	毎週水曜日 24:55～25:25
関西テレビ	毎週木曜日26:25～26:55
東海テレビ	毎週土曜日25:45～26:15
北海道文化放送	毎週日曜日25:10～25:40
テレビ西日本	毎週水曜日25:55～26:25
BSフジ	毎週水曜日24:00〜24:30

配信情報

FOD	全12話配信中
TVer	毎週水曜日25:25 最新話配信 ※毎週1週間限定無料見逃配信
GYAO!	毎週水曜日25:25 最新話配信 ※毎週1週間限定無料見逃配信

スタッフ

原案・クリエイティブ統括	谷口悟朗
監督	橋本裕之
原作	SSF
シリーズ構成・脚本	賀東招二
キャラクターデザイン原案	コザキユースケ
コンセプトアート	富安健一郎(INEI)
音楽	藤澤慶昌
企画・プロデュース	スロウカーブ
アニメーション制作	ポリゴン・ピクチュアズ