「Anime Japan 2026」にて、「アニメ化してほしいインディゲームランキング」の結果が発表され、『都市伝説解体センター』を始めとする話題作がランキングに並んだ。本稿ではそれらゲーム内容紹介や、京都で開催されるインディーゲームイベント「BitSummit」のキーパーソン、小清水 史氏へのメールインタビューをお届けする。
そもそも「アニメ化してほしいインディゲームランキング」って何?
「アニメ化してほしいインディゲームランキング」は、AnimeJapanとBitSummitが協働して開催したイベントだ。その名の通り、ファン投票でアニメ化してほしいタイトルが選ばれる。そして今回本ランキングに協働したBitSummitとは、毎年京都で行われているインディーゲームの祭典のことだ。2026年は「BitSummit PUNCH」と銘打ち、京都・みやこめっせにて5月22〜24日の期間開催される。国外での知名度も高く、海外のゲーム開発者が初来日する場として選ぶことも多い。

そしてインディーゲームはざっくりと“少人数規模で作るゲーム”と捉えてもらって差し支えないだろう。要するに「少人数だからこそ、クリエイターの個性が輝きやすい」世界だ。たとえば、有名どころを挙げると『マインクラフト』や『UNDERTALE』などもインディーゲームの範疇に入る。現在、アニメ化が行われた、あるいは進行しているタイトルとしては『グノーシア』や『NEEDY GIRL OVERDOSE』などもある。
つまり、インディーゲームはそのどれらも「これに似たゲームや物語はあまり見ないぞ?」と感じさせてくれるほどに作家性に溢れているのだ! 今回、「アニメ化してほしいインディゲームランキング」という企画が生まれたのも納得できる。
ランクインした話題のゲームたちをご紹介!
続いては、今回のランキングとゲーム紹介を行っていこう。
1位:『都市伝説解体センター』

第1位に輝いたミステリーADV『都市伝説解体センター』は、もはや昨年トップクラスに話題となったゲームと言っても過言ではないだろう。集英社ゲームズと墓場文庫がタッグを組み、ストーリー、ビジュアルなどが高い評価を受けた。洗練されたドット絵で繰り広げられる妖しい世界が、アニメでどう表現されるか気になるところだ。
2位:『IZON.』

『IZON.』は造形作家のYoshi.氏が自らがプロデュースしたゲームだ。最強の兵器・虚人を操作し、最弱の少女・智人を守る“共依存”ゲームであると銘打たれている。最強の存在である虚人の弱点は智人となり、智人は無から有を創造する能力で虚人を導いていく……。世界の“造形”もバッチリだが、そのゲームシステムも見事なものだ。『IZON.』、そしてYoshi.氏の世界を堪能したいという投票が多かったのも頷ける。
3位:『蒼き雷霆ガンヴォルト トライアングル エディション』

『蒼き雷霆ガンヴォルト トライアングル エディション』は、『蒼き雷霆ガンヴォルト(アームドブルー ガンヴォルト)』の一作目から三作目までを、様々な点で調整し収録したというものだ。本シリーズは本格2DACTとしての面白さ、そしてその物語性からもファンが多いタイトルだ。
4位:『HacKClaD』

『HacKClaD』は、まさかのボードゲームからのノミネートだ。デジタルゲームのみがインディーゲームではない。ゲームジャンルはデッキ構築型戦略シミュレーション。もちろん、ストーリーもしっかりと存在している。本作は人類を襲う怪物、クラッドに対抗する魔女たちの物語だ。アニメになった場合はどのような物語が紡がれるのだろうか。
5位:『ソーセージレジェンド・アリーナ』

5位の『ソーセージレジェンド・アリーナ』は、シュールなゲームだ。フォークに刺したソーセージをガッガッ(擬音があっているかはわからない)とぶつけ合って、先に折れた方が負け。本作は「そういうバトルが流行っている中世的世界」の物語なのだ。……実は、ストーリーはかなり重い。命懸けだし、革命とかも関わってくる。アニメ化を期待する声にも納得できるほどのシリアスなストーリーが展開される……ソーセージのぶつけ合いを軸に。
6位:『ラタタン』

『ラタタン』は、『パタポン』の開発者が新たに手がけたリズムゲームだ。かつて『パタポン』を遊んだことがある方ならわかるであろう、独自の世界観が魅力だ。なんと、クラウドファンディングで2億も集まった過去を持つ。『ラタタン』がアニメ化した際に気になるのは、彼らの音楽的な世界がどのように再現されるかだろう。きっと魅力的な世界になるはずだ。
7位:『吾輩は寮生である』

『吾輩は寮生である』は、なんと京都大学に存在する実在の寮を舞台にしている。100年以上の歴史を持つ「吉田寮」だ。プレイヤーはここに住む猫になって、自分の記憶と、寮の謎を探るため住人たちと関わっていくことになる。アニメ化するとなると、『吾輩は寮生である』内のストーリーと現実の吉田寮が被さるような、不思議な物語になることだろう。
8位:『モンスタボックス(Monstabox)』

『モンスタボックス』は「atKombi」が手掛ける、1vs1のボードゲーム型対戦ゲームだ。本作では日本の昔のアニメを彷彿とさせるような可愛らしい「モンスター」たちが多数出現し、賑やかなバトルを繰り広げる。本作はまだ未発売だが、デモ版は既にリリース済みだ。
9位:『ホテル・バルセロナ』

『ホテル・バルセロナ』はゲームクリエイターの須田剛一氏とSWERY氏がタッグを組んで送り出した作品だ。2Dアクションゲームをベースに、稀代のクリエイターたちによる狂気のホラースプラッタが描かれる。舞台となるホテル・バルセロナに、数多の個性たっぷりな殺人鬼たちが登場するのだ。
10位:『はらぺこミーム』

本作は“はらぺこ”な「ミーム」という生き物たちが中心となるコロニーシムだ。絵本のように穏やかな世界でミームたちの集落を発展させていくのだ。シビアなゲーム性とユニークなミームたちの生き方が印象に残る。「はらぺこ」という単語からもわかる通りに、彼らにとってはご馳走が重要な要素。アニメ化したなら、思わずお腹が減るような内容になる気がするぞ!
関西近郊の方はBitSummitで“話題作”を遊んでみては!?

本ランキングには、未発売のタイトルも実は多い。それじゃあストーリー性なんてわからないじゃないか!と考えるのは早計で、これらのゲームは試遊やデモ版などで多くのファンを確保した結果とも言える。
BitSummitは日本最大規模のゲームイベントのひとつ。来場したゲーム好きが先んじてそのゲームを味わい、そこでファンになった人間が投票した「期待値が高く、発売前からコアなファンを掴んでいるゲーム」ということだ。余談だが、ここから“自分が次に遊びたいゲーム”を探すのも大いにアリ。
発売済み作品は「プレイ済みのファンを多く確保したタイトル」だし、そうでない作品は今後チェックしていく価値がある。BitSummitは5月22日から24日にかけて開催される。気になった方はぜひ来場して遊んでみてほしい。そして、来年のAnimeJapanにてこれらのゲームのアニメ化が話題になっていたら最高だ!
続いては、そんなBitSummitの主催者のひとり、小清水氏へのメールインタビューをお届けしていく。
投票者の熱量は「きっと作品や関係者のもとへしっかりと届いていく」
一般社団法人日本インディペンデント・ゲーム協会
Vice Chairman / 副理事長
——まずは今回のランキングについてのご感想をお聞かせください。
小清水氏:BitSummitを主催する日本インディペンデント・ゲーム協会のVice Chairmanを務めております小清水です。今回並んだ作品群を拝見して、意外性があったというよりも、BitSummitらしさを改めて強く感じ、「なるほど」と納得させられるラインアップでした。
——今回1位となりました、『都市伝説解体センター』についての感想をお聞かせください。
小清水氏:『都市伝説解体センター』は、BitSummitに初出展された当初から不思議なオーラを放ち、多くのファンの心を掴んできた作品です。発売後はわずか3か月で30万本を売り上げるなど、セールス面においてもインディーゲームシーンを牽引する存在となりつつあります。今回の施策でも堂々のファン投票第1位を獲得されており、その大きな期待の高まりを改めて感じました。

今後はアニメ化をはじめとするメディアミックス展開を通じて、さらに大きく飛躍し、業界全体を一層盛り上げてくれることを楽しみにしています。
——ランキングに入った・入っていないに関わらず、個人的に注目しているというタイトルがあればお教えください。
小清水氏:今回ランクインした『IZON.』は、クラウドファンディングを通じて約3,700万円を集め、Steamで発売された注目作です。国内外で高い評価を受ける造形作家Yoshi.氏が手がけるタイトルとして大きな注目を集めており、ランクイン自体は十分に期待していましたが、第2位という結果からは、想像以上にアニメ化を望むファンの期待の大きさを強く感じました。
この盛り上がりが、本作のさらなる飛躍、そしてアニメ化実現に向けた大きな後押しとなることを心より願っています。
——ボードゲームも、実際にBitSummitにもコーナーが設置されており間違いなく“インディーゲーム”です。しかし今回、『HacKClaD』のランクインを見て、デジタルゲーム以外の熱量を改めて感じられました。小清水さまはボードゲームの盛り上がりについてはどうお考えでしょうか?
小清水氏:ボードゲームの盛り上がりも非常に印象的です。近年、BitSummitでもアナログゲームコーナーを設け、デジタルゲームと並んで展示していますが、多くの来場者から高い関心を集めています。今回第4位に選ばれた『HacKClaD』は、ゲームアイデアや世界観が非常に丁寧に作り込まれており、大きな魅力を感じました。
こうした作品が今後、デジタルゲームへと展開していく可能性も十分に感じさせるものであり、今後の広がりにも期待しています。
——ランキングには『ソーセージレジェンド・アリーナ』『吾輩は寮生である』、候補としては『TANUKI: Pon’s Summer』など、前評判と世界観への評価が高いものの、投票段階では未発売のゲームなども入っています。この理由について教えてください。
小清水氏:BitSummitの展示作品は、まだパブリッシャーが決まっていない作品や、開発途中の未完成な作品も数多く含まれています。まずはイベントで実際に展示し、ユーザーの反応をいわばロケーションテストのように確かめながらゲーム開発に活かすケースもあれば、資金調達や、発売前にいち早く体験してもらうことで認知を広げるPRを目的とするケースもあります。
BitSummitは、そうした多様な目的を持つ作品が集まり、それぞれの可能性を広げていく場になっていると感じています。
——「今回のランキングでどれほどアニメ化に近づいているか」というのはファンの気になるところです。お答えしづらいことだとは思いますが、アニメ化への期待値がどの程度向上したかなどについてお教えいただけないでしょうか?
小清水氏:今回の施策では、非常に多くの方々から投票や応援コメントをお寄せいただきました。インディーゲームの枠を越え、業界関係者の皆さまにも広く注目いただくきっかけを作ることができたと感じています。こうして寄せられた皆さまの声は、きっと作品や関係者のもとへしっかりと届いていくのではないでしょうか。
——「BitSummit」運営側としてはこのランキングを受けてどう感じられましたか?
小清水氏:メディアミックス展開を果たしたBitSummit出展作品を、今後会場で紹介・展示するような取り組みも意義深いのではないかと感じています。そうした場に、今回のBitSummit×AnimeJapan施策から生まれた作品が並ぶことになれば、大変うれしく思います。

——「AnimeJapan」来訪者の反応はどのようなものでしたか。『都市伝説解体センター』は今一番勢いあるインディーゲームと言っても過言ではありませんが、それ以外のタイトルに対しての反応などがありましたら伺いたいです。
小清水氏:会場では、『ソーセージレジェンド・アリーナ』を試遊して思わず大笑いする子どもたちや、『Ratatan』を見つけて何度も繰り返し遊ぶ海外からの来場者、『雷霆 ガンヴォルト』の第3位という結果を知って飛び跳ねて喜ぶファンの姿が見られました。
また、『吾輩は寮生である』の不思議な魅力をじっくりと静かに味わう来場者も印象的で、作品ごとに実にさまざまな反応が生まれていたことがとても興味深く感じられました。
——最後に、『NEEDY GIRL OVERDOSE』や『グノーシア』などで盛り上がるメディアミックスの潮流をはじめとした「インディーゲームとアニメの融合」にて感じられる所についてお教えください。
小清水氏:Netflixで展開するアニメ作品では、主題歌が日本国内にとどまらず世界的なヒットにつながる事例が増えています。同様に、ゲームを起点とした展開からもこうした大きなムーブメントが生まれ、メディアミックスを通じて作品そのものの大ヒットへとつながる事例が今後さらに増えていくことを楽しみにしています。
——今回は、ありがとうございました!





















