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2023年7月に突如発表された「TBS GAMES」というプロジェクト。TBSテレビがゲーム事業に本格参入していく宣言でもあり、ゲーム業界でも大きな話題となっていたことは記憶に新しい。

先日の3月7日には、TBS GAMESが本格的に取り組んだ最初のタイトルとなるNintendo Switch用ソフト『アイ・アム・冒険少年 超・脱出島』(以下、『超・脱出島』)がリリースされた。

TBSの人気番組『アイ・アム・冒険少年』をゲーム化したタイトルで、番組で定番となっている無人島の探索や火起こし、モリ突きといったサバイバルアクションを行いつつ、最終的にイカダでの無人島からの脱出を目指していく内容となっている。

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『アイ・アム・冒険少年 超・脱出島』公式サイト



後編となる本記事では、TBSテレビ特任執行役員・ゲーム事業責任者の蛭田健司氏に加え、『超・脱出島』の開発を務めた株式会社スリーリングスより、代表取締役の三輪賀一氏、本作のディレクターを務めた網野雄太氏、秘書の天野佑美氏を迎えて同作の魅力や開発の裏側に迫っていく。

TBS GAMESというプロジェクトについて蛭田氏に伺った本記事の前編はこちら。

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左から天野氏三輪氏網野氏

株式会社スリーリングス

2010年10月設立。コンシューマーゲームからスマホアプリまで幅広い範囲でゲーム企画・開発・運用を手掛ける。開発実績は『ワンピース ROMANCE DAWN 冒険の夜明け』『牧場物語 オリーブタウンと希望の大地』『ルーンファクトリー3スペシャル』など。

『超・脱出島』開発の経緯

——それでは、ここからはスリーリングスのお三方にもお話を伺っていければと思います。まず、今回の『超・脱出島』を開発されるに至った経緯をお伺いできますでしょうか。

三輪氏:
はい、最初は弊社の営業の人間から、TBS GAMESというプロジェクトが始まるという話を聞いて、「会って話をする機会があるけど、会いますか?」という話が来た時に「勿論会いたいです!」と。

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三輪氏:
それで実際に蛭田さんとお会いして色々とお話しした後に、「『アイ・アム・冒険少年』ゲーム化の企画コンペに参加されますか」というお話をいただきまして。「是非是非!」ってことで、今回の『超・脱出島』の企画を出したんです。

それでその後しばらく待ってたんですけど、お返事が無かったので駄目だったのかなと思っていたら、蛭田さんから「ちょっとお話があります」と言っていただいて。それで話を聞いたら、「是非、スリーリングスにやっていただきたい」と。

我々としても「是非やらせて下さい!」と言ったんですけれども、開発期間がすごく短かったんですよ(笑)。

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三輪氏:
最初は結構悩んで、現場に戻って弊社のディレクターの網野に相談して、「どうかな、大丈夫そうかな?」って。

「いや無理じゃないですか、ちょっと難しいんじゃないですか」って話になったんですけど、せっかくいただいたお仕事ですし、僕も息子と『アイ・アム・冒険少年』をよく見ていて、本当にお世話になってるような番組でファンだったので。

だからすごく興味があって、「こうやったらできるんじゃない?」と開発陣を説得して回って。

番組プロデューサーの上田さん※からも、「この企画がすごく気に入ってるから是非やっていただきたい」っていうお話をいただいて、そこまで言われたらもうやるしかないよな!っていう形で開発がスタートした流れになりますね。

※上田淳也氏 / TBSテレビ番組 『アイ・アム・冒険少年』プロデューサー

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蛭田氏:
TBSの内部では昨年の4月からゲーム事業が動き始めていて、グループ全体に対してアイディア募集もやっていたんです。

その時、真っ先に上田プロデューサーが「ゲーム化したい」と言ってくださって。

私自身もこれほどゲームにぴったりな題材は無いなと、その時からもうジョイコンを振ってゲームをプレイできるなら楽しいに決まっていると、自分も作りたいという思いがありましたから、トントン拍子で決まっていったというところですね。

三輪氏:
想像以上にスタッフがモチベーション高く取り組んでくれてビックリしました。開発期間に余裕が無いというので逆に燃えたという部分もあったと思います(笑)。

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番組側のバックアップ体制が凄かったんですよ。毎週ちゃんと定例でプロデューサーさんが出てきてくれるし。もう本当にTBS全社を挙げてって感じで、僕らよりも関係人数多いみたいな(笑)。皆さんに関わっていただいて、色々な意見もいただいたりしたので、とてもやりやすかったです。

——なるほど。IPものですと開発に関しては丸投げしてしまうような会社も多いと聞きますから、異例な感じがします。

三輪氏:
そうですね。今回は蛭田さんを筆頭に、ゲームに精通している方と番組のトップの方が二人三脚でドン!とやってくれたので早かったですね。そういう意味でもゲームの完成まで実現できたと思っています。

子供目線で追求した面白さ

——本作の中身についてですが、まず面白さのポイントをお伺いできますでしょうか。

網野氏:
元々コンセプト自体がジョイコンを振って遊ぶというのもあって、「番組を体現する」というところが非常に重要かなと思っておりまして。最初に企画を立てる段階から、「完成図はこうだ」という風に見えていました。

例えばジョイコンを振って、実際の火起こしに近い体験ができる。そしてイカダに乗ると、右漕ぎすると左に曲がる、左漕ぎすると右に曲がるというリアルな挙動になっているので、多分実際にプレイすると脳が混乱すると思うんです(笑)。そういったリアルさを体験できるのが一番面白い部分でしょうか。

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リアルでは体験できなくてもゲームで体験できるっていうのは、昔のアーケードゲームとかだと大体そうだったと思うんですけど、それを家庭用ゲームでやる。Nintendo Switch自体も元々そういったコンセプトがあるハードなので、そこをうまく利用して、ターゲットも明確に子供向けに設定して。

開発スタッフも子供の気持ちになって、「こうやらないと楽しくないよね」といった風に、ゲームバランスや遊び方をうまく仕込めたと思っています。

——確かに、火おこしは思った以上に大変でしたね…!非常にリアルだと感じました(笑)。

網野氏:
そうですね、意外と汗かきますからね(笑)。最終的に我々開発陣の中でも誰が一番早いタイムを出せるのかっていうのを競っていて、めちゃくちゃ盛り上がりました。開発中はちょっと腱鞘炎になる人間も出てきてましたからね(笑)。

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三輪氏:
実はこの網野が最初に調整した火起こしゲームはもう鬼の調整で(笑)。

一応プロデューサーからも、「きりもみ式※は難しくて良い」と言われて調整したんですけど、あまりにも難しすぎて、デバッグ会社からクリアできませんと(笑)。
※ゲーム内では三種類の火起こし器があるが、きりもみ式が最も難度が高い

——それは過酷ですね(笑)。しかし実際に腕を振るような設計だと、ジョイコンの調整なども難しそうです。

網野氏:
うちの会社だとジョイコンを振ってプレイするゲームの開発自体が初めてで。そのノウハウが無いという問題はありました。

開発期間に余裕があれば問題無いのですが、タイトな日程の中でどのように組み込んでいくかという部分は難しかったですね。

ジョイコンだと6軸センサーなどが入っているので、その辺りの感度がちゃんと実装されていないと、軽く振っただけでビュンっと動くような挙動になったりしてしまうので。そこの数値のバランスの取り方は慎重に行いました。

——他にも開発でこだわった部分などはありましたでしょうか?

網野氏:
番組がサバイバルをテーマにしているものなので、子供でも分かるように、簡単に楽しみつつプレイしてもらうためにはどうしようかということを一番考えましたね。

森の中でどういう風にアイテムを集めるかとか、拾ったアイテムをどう合成して良いイカダにしていくかとか。ちなみに開発の話にはなりますが、最初は森の中の岩とか木は叩いて壊せない仕様だったんです。

IMG_0065_result▲森の中の木や岩は叩いて壊すことでアイテムが入手可能

最初はただ近くに行って調べたら壊れるみたいな感じで。でも、「これだと子供にとっては面白くないよね」というところで叩いて壊す形になりました。本当にマスターアップの二、三週間前に変えたくらいです。

三輪氏:
子供が2人でプレイするシチュエーションを考えると、やっぱりアクション性が欲しいかなと。それで僕が無理やり、「入れて良いですか?」って言って(笑)。

網野氏:
というか裏ではもう勝手に用意されていて(笑)。これを入れると、デバッグが間に合わないから無理ですって言ってたんですけど、改めて考えると、子供って暇があるのはやっぱりつまらないんですよね。

だったら何かしら叩くとか木の棒を振るだけでもキャッキャ出来るので、そこに焦点を当ててやっぱり入れましょうと。

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——個人的には、木の棒などに耐久値が無くて、いくら木や岩を叩いても壊れない仕様が非常に親切で良いなと思いました。

網野氏:
最初は耐久値を持たせる仕様も考えていたんです。ある程度使うと壊れるようにしようかなとも考えていたのですが、子供にはちょっとそれは酷かなと。

他にも「体力」システムを入れて、体力が無くなったら倒れて、食事を食べて回復するような仕様もあったのですが、そういうものを入れていくと、子供にとってはすごくハードルの高いゲームになる。

低学年のお子様たちでも楽しめるぐらいのシステムに落とし込むことが必要だよねというところもあって、現状の形に落ち着きました。

教育的な要素へのこだわり

——各アイテムの説明欄では学びに繋がるような情報が表示されますが、やはり教育的な部分もゲームを作る上では意識されていたのでしょうか。

三輪氏:
私はこれまであまり教育的なソフトを作ってこなかったので初めてのチャレンジだったんですけれども、番組側のプロデューサーがそこをすごく大事にしていると分かっていたので、そこに応えたような形になりますね。

自分達にとっても本当に勉強になりましたし、教育的な部分と面白さの融合って最初は全くイメージできなかったんですけれども、やっていくと、ゲームとしての流れの中にそういう知識が入ってくるだけで良いんだと気づいて。

IMG_5476_result▲各アイテムの説明欄では大人も知らないような豆知識も多数

大人はそういった情報って既に知っていることが多いから通り過ぎてしまうんですけど、子供は初めて知る情報を集中して受け止めてくれるんですよ。

例えばうちの息子は図鑑とかを小さい頃からよく読んでいたんですけど、もうずっと読んでるんですよね。子供にとっては初めて見ることとか知る情報って、本当に新鮮で楽しいんだろうなって。

子供にとっては面白さに繋がっているのだから、無理にゲーム的な面白さだけを一生懸命作るのではなくて、ゲームの流れの中にしっかり組み込むという方向で進めました。

マルチプレイ実現への尽力

——ゲームが実際に完成してみて手応えがあった部分などありますでしょうか?

網野氏:
マルチプレイに関してですね。これは一番後に入ったもので。途中、予定はあったんですけど、どうしても開発期間的に難しかったので、一回、蛭田さんと上田プロデューサーに頭を下げたんです。

「すみません、マルチプレイの実装が難しそうなので、こういう形ならどうですか?」っていうお話をしたんですけど、上田プロデューサーから「NO」と、即答でしたね。

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「これはやってください」という話があって、しかし我々も開発側で人数も予算も限られてるので、なかなか難しいですという形でちょっと平行線だったんですけど、上田プロデューサーも含めてTBSさんにも色々と社内で調整していただいて、何とか実現したという。

蛭田氏:
ゲーム業界の常識からすると無理なスケジュールになるので、流石にスリーリングスさんでもこれは難しいのだと思ったんですけど、実現していただけて。本当に驚きました。

網野氏:
マルチプレイを入れて最終的に良かったっていうのは、やはり子供が2人でプレイしていて、お互いを叩けるんですよ。特に体力を削るとかは無いんですけれども、叩いたらペニョンとか音が出て。

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それで子供達がずっと叩き合ってじゃれあっているのを見て、これは良かったなと。この部分は別にゲームとして必要ではないけど、遊びのおもちゃとしては成功しているんじゃないかというのは後で思いましたね。

——なるほど…マルチプレイについては双方の尽力で実現したという形なのですね。

三輪氏:
上田プロデューサーに「実装は絶対マストです」っていうお話をもらってから、我々も火がつきましたね。「じゃあやってやるよ!」みたいな(笑)。

最初は「無茶言うなよ!」とも思ったんですが、上田プロデューサーにも譲れないものがあって、その見てる先は利己的なことではなくてちゃんとお客様を見てるっていうのが分かったので、僕たちも火がつきましたね。

その後大変でしたけどね。開発陣を説得して「頼むわ〜、入れられるって〜」って(笑)。

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網野氏:
だから本当にマスターの3週間前位から、色々な要素をギュッと入れて、そこでガツッとゲーム性が変わりまして。

開発側としてもこうしたいああしたいが出てくるし、上田プロデューサーからもマスターの1週間前に「こうして欲しいです!」っていうのが来て、こっちも「やりましょう!」と2日間位でバッと対応して。

三輪氏:
こっちも一回もう火がついちゃってるから、「あぁやります、やります」って。もう止まらなかったですね(笑)。

網野氏:
大事ですね。もの作りにおいては「お客さん、ここだよね」っていう、開発者が一番プレイして欲しい人や体験を共有できたときは強いです。

——なるほど。秘書の天野さんも開発には何か携わられていたのでしょうか?

三輪氏:
めちゃくちゃデバッグをやってもらってました。テストプレイ好きでやってくれるので。忙しいところでも「ちょっと来て」って(笑)。

天野氏:
はい、テストプレイを(笑)。

スリーリングスの今後

——それでは、会社としてのスリーリングスについてもお伺いしたいのですが、今後のビジョンなどをお伺いできますでしょうか。

三輪氏:
我々はデベロッパーなので、パブリッシャーと違って開発に特化している会社なので、基本的には作りたいものを作りますって形ではあるんですけれども。

お仕事をいただける範囲で自分達ができることを最大限やる会社なんですけど、最終的には自分達がIPを作りたいという思いがあって。

でもそれは自分達だけで売るんじゃなくて、例えば今回で言うとTBS GAMESさんと組んで一緒にパブリッシングしていただいてとか、そういった形でゲーム業界に貢献できるようなデベロッパーでありたいなと思っています。

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——やはり最終的にIPを作るというところを目指されているんですね。

三輪氏:
ゲームを作ってる人間は皆そう思っていると思います。それこそインディーゲームとして個人で作られている方とか、ゲーム業界に勤めながらも自分たちで集まって制作されている方も沢山いらっしゃるので。

僕は、いい時代になったなって本当に思うんですよね。そんな中で自分たちがプロとしてゲーム業界でやっている限りは、負けたくないって思いもあるし、逆にそういった人達に対して刺激を与えられるような、本当にいいゲームを出していきたいなと思っていて。

負けてられないなっていう思いと、お客様から良いゲームを作ってくれてありがとうって言われたい一心でやっています。

蛭田氏:
仰られた通り、誰もがゲームを作れる時代になったので、逆に埋もれてしまうようなケースも増えたじゃないですか。だからこれまで以上に、「知っていただく」という部分の差別化が大きくなってくるのかなと思います。

ゲーム単体で、すごく面白くてそれだけでヒットするものもあるんですけど、せっかく良いものを作っても知られないままというケースもあるので、その中でTBS GAMESは本当に良いものを作った上で、しっかり広めていく、知っていただくという部分を意識する必要があるなと。

TBSは国内に向けてはある程度の影響力があると思っておりますので、今回は本当に良い組み合わせだったかなと思います。

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——地上波放送の影響力で言うと、TBSテレビは日本でも屈指ですものね。

三輪氏:
本当にそういう意味では、一緒にゲームを完成させられて良かったと思いますね。これだけ(情報番組などで)露出していただいて、普通じゃありえないですからね。

四者の「人生を変えたゲーム」

——最後に、本日のテーマとは関係ない部分になるんですけれども、皆様にとって「人生を変えたゲーム」などあればお伺いできますでしょうか。

網野氏:
自分は「ファイナルファンタジーIII」ですね。

三輪氏:
ジョブチェンジシステムの。

網野氏:
はい、多分小学校低学年ぐらいの幼少期にやっていたんですけど、その時期って特撮ヒーローに憧れる時期だと思うんですよね。自分の場合はその中でも「忍者」っていうのにすごく憧れがあって。

それでFF3の最後に忍者と賢者っていうジョブが入手できるじゃないですか。そこで忍者になれたのがすごく嬉しくて。「何だこれは」っていうところから、自分もこういうものをやりたいなっていうところで、ゲームクリエイターになりたいっていう風に考えましたね。

後は、『ファイナルファンタジー』シリーズのメインデザインをされていた天野喜孝さんの絵にもどっぷりハマりまして。

その時から「この絵も買うんだ」って言って、その夢をどうにか叶えようかなと思ってゲーム業界に入ったし、天野先生の絵も何度か買わせていただいて。なので、自分の場合は『ファイナルファンタジーIII』ですね。

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三輪氏:
私は人生変えたまでは行かないかもしれないんですけれども、『ファイアーエムブレム』が大好きで。

あのゲームを一番最初にやった時に、ユニットが死んだら生き返らなかったんですよ。

当時それがもう衝撃で。やり直せって言われても、どうしてもリセットボタンは押したくないっていう。ゲームでその葛藤を味わったのが初めてだったので、本当に衝撃でした。

自分が率いていた仲間の1人がもういなくなるっていう、大事にしてた家族がいなくなるみたいな。本当に死んじゃったんだ…っていう衝撃があって、心に残っていますね。なので、いつかファイアーエムブレムを作らせていただきたいと思ってます。

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天野氏:
私の場合は幼少期にはもうずっとゲームをしていて、例えばディズニーランドに行っても待ち時間でずっとゲームやっているようなゲームっ子だったんですけど。

当時はニンテンドーDSの『二ノ国 漆黒の魔導士』をずっとプレイしていたんですけど、ある日やりすぎて、母親にDSを真っ二つに壊されてしまって(笑)。

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三輪氏:
某有名人の方からも聞いたことがあるようなエピソードですね(笑)。体験的には一番人生が変わってるかもしれない(笑)。

蛭田氏:
私の場合は特定のソフトではなくゲーム体験なのですが、私の世代だと友達とみんなで集まって、初代ファミコンでカセットを入れ替えつつ一緒に遊ぶというのが当たり前だったんですけれども、本当に熱中してたので、当時のゲーム漫画の真似をして、自分達で「ファミコンクラブ」というものを作りまして。ただ集まって遊ぶだけなんですけど、会員No.1とかいって手書きで会員証を作って(笑)。

丸一日朝から晩まで遊ぶぞという時に、例えばアクションゲームでタイムアタックをしたりとか、あるいは『ハイパーオリンピック』っていう連打するようなゲームで勝負してランキングをつけたりして、全員本気で競い合ってやるんですけれども。

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先ほどお伝えしたように、自分の場合は外でなかなか遊ぶことが難しかったので。鬼ごっことかやっても、気を遣われてしまって。幼稚園のときの経験なんですけど、「蛭田君は当てられても鬼にならないようにしよう」みたいな。

それって優しさから出たことだと思うんですけど、そうすると誰も自分を狙ってこないし、自分も追いかける側にもならないし、単に仲間外れにされているだけみたいになっちゃうんですよね。

そういったことが当時悲しく寂しい経験だったんですけど、ゲームの世界ではお互いに気を遣うことなく、等しく競える場だったっていうのが救いだったので。その経験は一番人生を変えてくれたというか、人生を豊かにしてくれたものなのかなと思います。

そしてそれが、『超・脱出島』でも実現できているのかなって。ランキングで競い合って欲しいですし、みんなが集まって遊ぶこともできるゲームになっているので、ワイワイ楽しんでいただきたいなと思っています。

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ーーインタビューを通じて感じられたのは、蛭田氏、三輪氏、網野氏、天野氏のそれぞれのゲームに対する真摯な思い。

自分達が制作するゲームに対して、あるいはゲーム業界全体に対しての愛や信念を強く感じ、インタビュアーとしても大変に背筋の伸びる思いだった。

今後ゲーム業界において大きな波を起こしていくであろうTBS GAMESと、今後もデベロッパーとして世に魅力的なゲームを数多く生み出すであろうスリーリングス。両社の動きをしっかりと追っていきたい。

TBS GAMESというプロジェクトに迫る本記事の前編はこちら。

『アイ・アム・冒険少年 超・脱出島』基本情報

タイトル名 アイ・アム・冒険少年 超・脱出島
発売日 2024年3月7日
ジャンル サバイバルアクション
価格 2480円
対応機種 Nintendo Swich
会社 株式会社TBSテレビ
公式サイト アイ・アム・冒険少年 超・脱出島
公式Twitter アイ・アム・冒険少年【公式】